進化を遂げる!平川ワイナリー

2015年に北海道・余市に設立された「平川ワイナリー」。今年新たに第2醸造所が完成したため、その内覧会に弊社ワイン担当が参加してきました。

ワイン担当は6年前にも同ワイナリーを訪れており、ワイナリーが着実に成長を重ね「今や世界のワインと遜色ないレベルに立っている」と言います。そんな平川ワイナリーの凄さを、ワイン好きスタッフ松丸が皆さまにお伝えいたします!

ここが凄い!平川ワイナリー

世界と肩を並べるワインを生み出す理由。それは主に3つあります。

1. 最高の畑

ワイナリーのある沢町は海まで車で約5分。ここが余市の葡萄栽培の海側の北限です。畑には海と山、両方の風が吹いてきます。海からの風は湿っていて、山からの風は強く、たまに木を斜めにするほどの強風が吹く事もあるとか。畑に立つと常に風が様々な方向から吹いていることがわかります。太陽を遮るような山がなく、終始陽があたり、風が吹く。もはやそこに立って一目見ればわかるレベルで別格です。北海道の中でも余市は特に日照量が多い場所。畑の説明を受けるため10分ほどそこに立っていただけでも軽く日焼けするほど。ブドウもその日差しを燦々と受けて糖度を高めることができます。

そしてこの畑は、伝説の果物農家・藤城議(はかる)氏が元々果樹園を開いていた場所。ここで出来るさくらんぼや桃が素晴らしく美味しいと昔から評判の土地でした。平川氏が引き継ぎ畑を耕している時、昔の時代の矢じりや身分の高い人の墓が見つかった事もあり、はるか昔から選ばれた場所だったのではないかと考察されています。

ブドウの収穫は10月中~後半と北海道の中でも一番遅く、平川氏もギリギリまで収穫を粘ります。そうすることで、北海道の他の産地にはないトロピカルフルーツや桃のニュアンス香りが現れます。最高の畑から生まれる「アロマパレット」の豊かさが、平川ワイナリーのワインを特別なものにしているのです。

2. 豊富な経験値に基づく栽培&醸造技術

ワイナリー設立者の平川敦雄さんは「世界最高峰のレストランでソムリエとして働きたい」という夢を持ち、20代で渡仏。現地ではシャトーマルゴーやルフレーヴ、デュジャックなどフランス各地の最高の造り手の元で栽培や醸造を学びました。また、ミシュランの星付きレストランであるランスブールやル・シャルルマーニュでソムリエとして働いてきたことで、サービスや栽培・醸造、研究者の立場からワインにアプローチできる、日本でも2人といない貴重な方です。

その平川氏が行っているのが「草生(そうせい)栽培」。雑草を除草せずに利用して、土壌を管理する方法です。草が冬に雪に埋もれ、そのまま腐ると春に土の栄養となり、春は草が無くなるため地熱を活かすことができます。夏は雑草を通して余分な水分を蒸発させることができるのです。こうして1年に0.5ミリずつ雑草が土となり積もっていき、ブドウにその土地ならではの栄養を与えます。平川ワイナリーの土壌は1200年もの年月の積み重ねでできているのです。

▲(左)平川ワイナリーの土壌 (右)草生栽培の様子

また平川氏は、酸がのりやすい北海道のワインで除酸を行わず、収穫のタイミングを見極めることでバランスをとり、醸造学的欠陥のない味わいを目指しています。そのために平川ワイナリーでは、一つのブドウの房をなんと3回に分けて収穫。ワインの中に未熟で粗い酸味が入らないよう、過熟でも未熟でもない「適熟」を目標に畑で味わいをデザインしています。機械収穫と比べて何倍もの人出と手間がかかる方法ですが、「良いワインは良いブドウから」という想いが伝わってきました。

3. 唯一無二の「酸」

最高の畑と平川氏の栽培・醸造技術から生み出される平川ワイナリーのワイン達。全てのワインに共通して感じられるのが、背筋がピンと伸びるような唯一無二の「酸」です。地球温暖化の影響でブドウの酸が失われ銘醸地のワインが軒並みハイアルコールになる中、多くの生産者が喉から手が出るほど欲しがるのがこの「酸」。平川ワイナリーのワインには、余市の寒暖差から生まれる「酸」が自然と備わっています。

開けたては張り詰めた味わいに感じられるかもしれませんが、抜栓後約1週間かけて楽しめるのが平川ワイナリーの特徴。平川氏自身も抜栓後何日目で最も美味しく感じるか、各アイテムで実験しています。抜栓後、こうして長く楽しめるのも背骨の通った「酸」があるからこそ。日々のお食事と合わせてワインの変化をゆっくりと楽しんでみるのもオススメです。

■ 新たな醸造所と平川氏が目指す先

さて、今回新たに完成した平川ワイナリーの第2醸造所。ここでは本格的な「スパークリングワイン」の製造にチャレンジしていきます。ウッディな見た目が美しい2階建てで、1階では主に瓶内二次発酵ワインの生産を行い、2階は出荷用倉庫として使用されます。

▲第2醸造所の前で説明する平川氏

スパークリングへの挑戦は、ワイナリー設立当初から話題に上がっていたもの。7年の歳月をかけてようやくスタート地点に立ちました。見学時には白ブドウだけで造ったスタンダードタイプとロゼの2種類があり、補糖の量でどれだけ味わいが変わるのか試すことができました。平川氏が生み出す日本トップの泡…どんなものになるのか、今から完成が待ち遠しいです。

平川氏が目指すのは、品種の個性を超えた「土地の個性」を表現すること。ワインの本場・フランスではそれは当たり前で、ピノ・ノワールやシャルドネといった品種名ではなく「ロマネコンティ」や「モンラッシェ」という土地の名前だけで世界一のワインだと分かります。重要なのは品種名ではなく、「どこの土地で生み出されたのか」ということ。平川ワイナリーのワインが品種名を名乗らないのもそのためで、どの品種で造られたのかということよりも「余市の風土を味わってほしい」という想いが込められているのです。そんな平川氏の最終目標は、自社のワインのみでフルコースの料理に合わせること。現在49歳、ワインを造れてあと30回程。「自分がいなくなった後でも、品種名を名乗らず余市として産地名で売れるワインを目指したい」という強い想いに心打たれました。

平川ワイナリーのアイテムにはそれぞれ明確な産地・畑の個性があり、そのクオリティも年々高まり続けています。世界のワインと遜色ないレベルに立つ、日本トップのワインと言えるでしょうさらに、価格の上昇を続ける海外ワインと比較しても圧倒的なバリューがあります。日本ワインの中では高額の部類となる平川ワイナリーですが、海外のトップワインと比較すれば破格であると言えます。世界に通ずるワインはここ、北海道・余市から生み出されています。