新蔵での造りが始動!注目銘柄「千歳鶴」

札幌唯一の酒蔵で、北海道出身の女性杜氏が北海道の酒米を使って造る「千歳鶴」。昭和3年の誕生以来品評会での受賞歴も多く、地産地消をモットーに地元で愛され続けてきたこの銘柄は、今まで以上に”北海道”にこだわった銘柄になるべく2021年に生まれ変わりました。2023年4月には新蔵も完成し、ピカピカの蔵の中で日本酒造りが行われています。そんな新蔵の様子と、酒質アップに励む「千歳鶴」のこだわりをお伝えいたします!

北海道酒造業のパイオニア・日本清酒株式会社

「千歳鶴」を醸す日本清酒株式会社の創業は明治5年(1872年)。石川県能登から来道した創業者・柴田與次右衛門(しばた・よじうえもん)が造り酒屋「柴田酒造店」を開店したのがはじまりです。数年後には清酒をつくりはじめたと伝えられ、北海道の酒造業の幕を開けた先駆者といわれています。

明治30年(1897年)には同業者を束ね、日本清酒の前身「札幌酒造合名会社」を設立。昭和3年(1928年)には業界企業合同の政府要請に応えて8つの企業を合同し、現在の「日本清酒株式会社」へ。そうして「千歳鶴」が誕生しました。

創業以来初めての女性杜氏

そんな「千歳鶴」の造りを担うのは、北海道釧路出身の市澤智子杜氏。微生物の世界に魅せられた市澤さんは、東京農業大学短期大学の醸造学科を卒業したのち地元・釧路の地ビール会社や道内の酒蔵で杜氏を歴任し日本清酒へ。創業以来初めての女性杜氏に就任し今年で9シーズン目。現在7名のスタッフとともに「千歳鶴」を醸しています。

▲創業150周年を迎えた日本清酒を背負う市澤杜氏

「千歳鶴」を我が子のように大切に扱う市澤杜氏。彼女が目指すのは「食中酒として食卓に1本置いてもらえるようなお酒」。純米酒と純米吟醸酒はリンゴ、純米大吟醸酒はレモンのような”爽やかな酸味”が特長で、その味わいは白ワインのようにも感じられます。これには「千歳鶴」のこだわりがギュッとつまっているのです。

こだわり①   高の環境で育つ北海道産酒米

「千歳鶴」では、特に良質な酒米を栽培する新十津川町の契約農家により丁寧につくられ厳選された北海道産の酒造好適米を使用。その産地は米どころ・新十津川の中でも特に良質な酒米ができる学園・吉野地区に限られています。高い品質のお米が育つポイントは、すぐそばを流れる清流・徳富(とっぷ)川。かつての氾濫で山から肥沃な土壌を運んできた上、そのきれいな水も米つくりに適しており、さらに学園・吉野地区一帯は両側に山もあるため冷たい風が吹いても田の上を通りすぎ、穂に風がそれほど当たらないのも育成においてプラスに働きます。新十津川町の環境は最高ランクの山田錦が育つ兵庫・吉川エリアとよく似ていると言われ、さらに水はけの良さも抜群。新鮮な水が循環し土の中に浸透すると、酸素が根に供給され稲もすくすくと育ちます。

「千歳鶴」で使う酒米は3種類。約20年前に誕生し、品質の向上や種類の多様化が進む北海道の酒造好適米です。

・吟風:親はきらら397、八反錦×上育404号の交配種。米の中心部にある心白が大きくはっきりしているため、芳醇な酒質になりやすいお米です。北海道を代表する酒米であり、2000年に誕生したのをきっかけに北海道の酒米が全国へ広がる走りとなりました。

・彗星:親は吟風と初雫。良質な酒米であることを示すタンパク含有量の低さが特徴で、淡麗な味わいの酒質傾向になります。品質を決める千粒重が重く大粒で、収量性が高い品種です。

・きたしずく:親に吟風を持ち、片方は雄町×ほしのゆめ。粒が大きく冷耐性も優れた北海道の酒米として2014年に誕生しました。雑味が少なく柔らかくすっきりとした酒質となる酒米で、吟風の様に心白出現率が高く、彗星の様に千粒重が多く収量性が高いお米です。

こだわり② 北海道屈指の水質を誇る仕込み水

札幌という都心に建つ蔵ですが、蔵のそばを流れる豊平川の伏流水は北海道屈指の水質を誇り、創業当時から長年酒造りを支えています。札幌南部に連なる緑豊かな山々が水源の豊平川の伏流水が100年、200年といった長い時の中でゆっくり地下へ浸み込み、地中へ。水は岩盤層を通り抜け、濾過されながら地中のミネラル分を吸収。この良質な仕込み水が千歳鶴の背骨となっています。

こだわり③ 先々代杜氏が考案した「千歳鶴クラシック製法」

市澤杜氏は先々代の杜氏が生み出したオリジナルの”三段仕込み濃厚製法”を用いて微生物の活動を活発化させることで発酵を促し、お米本来の味わいを表現することが難しいとされる北海道の酒造好適米のポテンシャルを最大限に引き出しています。

三段仕込み濃厚製法とは、麹米を初添、仲添えの段階で全て投入し、留添ではゼロ。仲添までの段階で麹米の割合が濃厚な状態になり、濃厚な醪に掛米を留添で半分以上一気に投入ししっかり発酵させる製法のこと。この濃厚製法、もとい「千歳鶴クラシック製法」は、酵母の数が多いため「千歳鶴」の特長である「爽やかな酸」を生み出し、反対にアミノ酸は抑えられてお酒本来の味わいを保てる酒質に成長するのです。

▲2階建ての新蔵。1階では醪管理と搾り、2階では製麹と酒母管理が行われています

”北海道”の持ち味を生かす「千歳鶴」

「北海道・札幌唯一の酒蔵で、北海道出身の女性杜氏が地元の酒米を使って造る日本酒」がコンセプトの「千歳鶴」。ピカピカの新蔵で仕込みが始まったうえ、「東一」元製造部長の勝木慶一郎先生の指導も入りその酒質はぐんぐんアップしています。市澤杜氏が丹精込めて、我が子のように大切に大切に育てた北海道を代表する食中酒。ぜひ皆さまの食卓でも日々のお料理と合わせてお楽しみいただけたら嬉しいです。

■ 千歳鶴 純米酒 吟風

林檎のようなみずみずしさと、透き通る甘味とフレッシュな酸味が持ち味の純米酒です。お米の旨味をギュッと閉じ込めた味わいながら、軽やかな酸味で後口はサッパリと感じられます。


■ 千歳鶴 純米吟醸 きたしずく

林檎や花の蜜を思わせる繊細な香りに心地よい甘み。クラシック製法の濃厚さを感じさせるほど良い旨みは、白身魚の天ぷらや鯵の南蛮漬けなどしっかりとした味わいのお料理にもよく合います。


■ 千歳鶴 純米大吟醸 きたしずく

繊細で控えめな香りにスッキリとした酸味、そしてキレのある後味。柔らかい口当たりと透明感のある飲み口でサラリと飲み進めてしまいます。和食と相性抜群、食中で引き立つ1本です。